フェリーチェの試験

「すまないが時間はあまりないんだ。」
アシェルが申し訳なさそうにフェリーチェに言うと、フェリーチェがアシェルの方に振り向いた。
「心配には及びません。私の力の中で、一番心の強い方に力を託したいと思います。」
フェリーチェは全員を見渡しながら微笑みかける。
「すまないが、俺とミンティアはパスな。王様に“地理班は関わるな”って言われてるから。」
キセキはミンティアの肩を抱き寄せて眉を下げた。ミンティアは耳を下げ、
「もー!べたべたくっつくのやめてー!」
と、ミンティアは尻尾をへの字にして、キセキを押しのけた。
「いーじーわーるー!」
キセキは駄々をこねる子供のように地団駄を踏む。

フェリーチェは微笑むと
「創造の力が必要ない方はいらっしゃいますか?」
と辺りを見回すが、誰も動かなかった、

「シエル大丈夫なのか?」
ヴァンクールが心配そうにシエルの方を見るとシエルは前を向いたまま、真剣な顔で頷いた。
(私たちの戦いなんだから、わたしも戦わなくちゃ。)
『シエル頑張って。わたしがついてる。』
金髪の美しく長いツインテールの妹、シャインがシエルの両肩をつかんだ。

フェリーチェは一度頷くと両腕を広げる。一瞬冷たい風が辺りを包んだと感じた瞬間、周りの滝から流れ出た水がフェリーチェの周り包み込んでいく。周りの光を受けてフェリーチェを包む水がキラキラと美しく光る。突然フェリーチェが両手を前に突き出した時、周りを包んでいた水が光を放ちながら飛び散る。

その瞬間、キセキとミンティア以外の四人の視点が暗転した。


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