不老不死
「じゃああなたは死ぬことができないの?」
いままで黙っていたカレンが口を挟んだ。
「そうですね。
人は不老不死を望みます。しかしそれは一番恐ろしいことだと気づく時にはもう遅いのです。限りあるからカラフルで美しい人生なんですよ。」
フェリーチェがハの字の眉のままカレンに微笑みかけた。
「しかし希望が全くないわけではありません。この能力を譲渡するにはなにか能力を使う以外には私が死ぬという方法しかありません。」
するとフェリーチェはヴァンクールのほうを向くと
「あなた私を能力で殺そうと試みていますね。」
ヴァンクールは眉間にシワを寄せて、
「そうだ。」
と一言つぶやいた。

「この創造の力の能力の中にあるこの空間では私に対するあらゆる能力の発動を無効化します。」
アシェルが月の力を使えないのもそのせいである。
「じゃあ能力を使わずに短刀で切ってしまえばどうなるんだ?」
ヴァンクールはいつも通り恐ろしいことを真顔で考えているようだ。彼は焦っている。
「やってみますか?」
フェリーチェがにっこりとヴァンクールに微笑みかけると、ヴァンクールはアシェルに目配せした。アシェルはシエルの目を大きな手で覆おうとした時、シエルは小さな声で「大丈夫。」とつぶやいたためにアシェルはシエルから手を離した。

ヴァンクールは一瞬にして左逆手で短刀を抜くと空中で一回でさせて右順手に持ちかえると空を舞った。
あまりの速さに瞬きする暇などない。音もなくフェリーチェの喉に当てられた短刀は鈍い不気味な音を立てた。その瞬間この空間に似つかわしくない真っ赤な血と青い髪が宙を舞った。
と全員が思った。
大量の血を浴びたヴァンクールが地面に着地した瞬間、世界が青一色に戻ったのだ。

「あ?」
声をあげたのはヴァンクールだった。クビが飛んだはずのフェリーチェは無傷でその場に立っていたのだから。


[*前へ][次へ#]

18/33ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!