俺と

「おい。ランス」
目の前の橙を追う。
名前を呼ぶとすぐにその橙は止まった。
「寛人……」
風のよく通るバルコニーだ。

「話があるんだ。」
ランスは柵にもたれながら、ヒロの方を振り返る。
「ランス……。」
どう見ても余裕のない顔だ。

「俺の運命は決まったように感じたんだ。
それは自分で決めたことなのだけれども。」

そう。彼は死に近すぎる。

「セイカが来たら、能力を駆使されてすぐに殺されるような気がする。
みんな同じなのはわかってるんだけど。」
ランスは夜のカストレの町を眺めながら、ぼうっと呟いた。

「ランス。君は死んではいけない。
この国が困惑するだろう?」
ヒロはゆっくり近づくとランスの隣に立って外を眺める。
はじめて見るが、宝石のようだ。

「綺麗だろう。
そして広いだろ?」
ランスが赤い目をこちらに向けた。
「俺はこの人数のトップに立たないといけないんだよな。」
ランスがふふっと笑う。

「ランス。」
ヒロは今にも弱音を吐きそうな顔を見て、胸がいたくなった。
まだ19歳なのだ。

「ごめん。ヒロ。
でももうこの国を救えるのは俺しかいないんだ。
頑張るよ。」
ランスは夜のカストレを見つめて微笑む。

「ヒロ。
最後にお願いがあるんだ。
もし死んだとしても、俺の意志が消えることがないように。」
ヒロは息を飲んだ。
嫌なことを想像してしまったからだ。

「俺と契約してくれ。」


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