フリータイム
「おい。これからどうする?」
ヴァンクールがフレイルの部屋のベッドに腰を下ろして足を組んだ。
彼の表情を見ている限り、カストレを信用する気はさらさらないらしい。いつも通りのピリピリした空気を放っている。

「うん。とりあえずいまは騎士団と仲良くしないといけないのはたしかだ。
だからあんまり変なことはすんなよ。」
アシェルは部屋の中をうろうろしたあと、窓際に置いてあるソファに座った。

そう、今回カストレに来たのはヴァンクールを守るという目的がほとんどである。
ここで一気にカストレを敵に回してしまうと、こちらは絶望的な状況になる。
「わかってるよ。
こんなところで騎士団全員と戦ったりしたらかなりの確率で終わるよな。」
ヴァンクールは長いまつげを伏せると歯を見せてニカッと笑うと肩のベルトをはずしにかかった。
(フレイル、夕食っていつなんだ。)
『誰かが呼びに来るよ。
それまで部屋のお風呂とかつかったら?』
フレイルは扉を後ろ手で指さしながらアシェルに向かってにっこり笑う。
まだ窓の外は明るいので、夕食まではまだ時間があるだろうあるだろう。
アシェルはネクタイを緩めるとソファに全身を預けた。
「ヴァンクール、風呂もあるって。」
(これは寝ちまうな。)
アシェルは柔らかいソファのうえで目をとじると、ゆっくり意識が遠のいていった。

(アシェル寝ちゃった。)
ヴァンクールはVネックのシャツを脱ぎながらソファを覗き込んだ。
『ヴァン寝ないつもりかあ。』
マリが隣で微笑む。
(ん。神経質なんだ。)
ヴァンクールはマリに優しく微笑むと風呂場へ走った。



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