僕の……
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「来ていたんですか?」
深海を思わせる全体的に深い青色の部屋の中、椅子以外に何もない。そのたった一つの椅子の上に座っている長い青い髪の女性が振り返らずによく通る声を上げた。
「さすがだねえ。
僕に気がつくなんてあんたとババアくらいだよ。」
壁のくぼみに腰掛けていた黒髪の少年エージェントはふっと小さく微笑んだ。
「わざわざここまでどうしたんです?
フレッドあなたは少し席を外してください。」
女性はやはりエージェントの方を振り向かずに、自分とエージェントしかいない空間でもう一人の人物の名前を呼んだ。
「フェリーチェ、あんたも哀れだね。
さっさと死ねばいいのに。」
エージェントが壁のくぼみからふわっと降りると、フェリーチェと呼ばれた女性の椅子に近づいた。
「僕らと違ってあんたは一瞬で死ねるじゃん。」
椅子にもたれかかりながらエージェントはふわっと笑う。
「私にはやることがありますから。
私にしか見えてなくともフラッドがいてくれます。
辛くなどありません。」
エージェントは目をつぶって聞きながら、フェリーチェの前に歩く。
フェリーチェはじっと目をつぶっている。
「あんたは夢に生きるんだね。」
エージェントはフェリーチェの長いまつげを優しく撫でた。
「僕の最期。決めたんだ。」
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