私が守る

「じゃあ。エレベーター動かすぞ。」
ランスは慣れた手つきで大きなエレベーターの中にある装置をいじる。
「こんなのでしか本当に中に入れないのか……?」
サギリが眉を下げて辺りを見回した。
カストレに来たことのある誰もが考える謎の一つである。
「まあ鎖国状態だからね。」
アシェルはニコーっとわらってフレイルの真似をした。
(しまった。誰にこれが伝わるんだ。)
"あちゃー"という顔をしていると、
『それ僕の真似……僕そんなに変な顔なの……?』
本気で悲しそうなフレイルと、
「「アシェルどうしたの……?」」
という心配そうな皆の顔と、
「似てる……。」
と一言呟いたヴァンクールの3パターンが見れた。

『ほんっとヴァンはアシェルに甘いよね。』
フレイルがさっきアシェルがやりたかった表情と全く同じ顔で笑った。


その瞬間。
ガコンッと大きな音と同時にエレベーターが大きく揺れる。
「わっ!」
ランナが転けた。

「大丈夫か?
このエレベーター、世界最速だとは思うけど、何せ高さが高さだから……
いつも一時間位かかるよ。
みんな適当に中でくつろいで。」
ランスがランナに手をさしのべながらにっこりと微笑んだ。
と、言われても……
この金属の塊のなかで、しかもこれから敵国となっていたカストレに向かうエレベーターのなかで穏やかに過ごせるわけがない。
わかりやすくいえば、戦地行きの列車でゆっくり眠るようなものである。

「アシェル……」
ヴァンクールが心配そうにアシェルを見上げる。
「エヴァがいつ目覚めるかわからないから俺のそばにいろよ。」
「あぁ。」
ヴァンクールは真顔でうなずいてなら下を向いた。睫毛で影ができている。

「大丈夫。
絶対にみんなは傷つけさせない。
休めるときに休みなさい。」
ランスがにっこり笑った。


[*前へ][次へ#]

3/38ページ


[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!