病院へいそげ!

「ヒロ!」
シエルとランナと杏理は高校から町へと向かう大きな階段の上をかけ上がっていた。

シエル達の眼前には、ぐったりとしたヒロと、高貴な白い服を血まみれにした青年の姿。
何があったのかよくわからない。
「あんたはたしか…。ヒロをどうする気ですか?」
ランナがソルフレアでヒロに紹介された青年の顔を思い出した。
「ランス王子…。」
シエルがポツリとこぼす。

「そこの人、緊急だ。医者に伝えてくれ。」

ランスは杏理を指差した。
杏理はビックリしてうなずくと、また走って病院の方へと戻っていった。

「ヒロを助けるぞ。」
ランスはかすかにみえている病院を見ながら、呟く。
ランナとシエルはその一言で、ランスが今は味方だと理解する。

「「はい!」」

二人は大きな声でうなずいた。

ーーーー

「お!カサハラ見えてきたぜー!」
軌跡の陽気な声にヴァンクールは目を覚ました。
「お疲れさん。」
軌跡の隣で座っているアシェルの顔が見える。

「ヴァンクール、起きたか。
サギリを起こしてくれるか?」
アシェルがヴァンクールの後ろを指差す。
ヴァンクールの後ろの席にサギリは横になっていた。
「サギリ、起きろ。」
ヴァンクールがサギリの肩をたたくと、
「ん。んー。」
とサギリは目を擦りながら起き上がった。

「そろそろ、カサハラに着きますよ。」
軌跡が運転席にニコニコしながら、大きな声でサギリに聞こえるように言う。
「任せきりですまない。」
「ほんの数時間ですから。大丈夫です〜」

「おい。あそこに止めようぜ。」
アシェルがカサハラで特に目立った建物のひとつである病院の屋上を指差した。

軌跡は目をこらして、ヘリがとまれるか確認すると、
「オッケー!しっかり捕まってろよ!」
と大声をだす。
その瞬間、ヘリは勢いよく降下した。


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あきゅろす。
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