虹の剣

「くそっ!」
ヒロは即座に力を集中して能力を発動した。

ヒロの体は一瞬で数メートル先に飛ばされる。
それと同時にヒロのいた場所にもう二本の赤と黄色の剣が浮いていた。
もしあのままあそこにいれば、ヒロの体は串刺しになっていただろう。

アルヴァに視線を戻すと、また他に三本、紫、橙、藍の剣が浮いている。

「あんたの力は…。」
息を荒くしながら、尋ねた。
「いい力だろう。虹の力だ。
それはそうと。お前、もう限界なんじゃないのか?
その力、燃費悪いもんな。」
アルヴァは自分の周囲に虹色の剣を浮かべながらニヤリと笑う。

たしかにヒロの体力は限界だった。
数回瞬間移動するだけで体力はギリギリになってしまう。なんせ騎士とたたかっているのだから、体力のへりが早いのは当たり前である。

「終わり…だな。」
アルヴァは地面に落ちてある赤い刀に手を伸ばした。

ヒロは刀をアルヴァに向ける。
その瞬間、アルヴァは刀を持ち、まわりに虹の剣を纏いながら走ってきた。

(くそ、体が重い…
やはりアルヴァには敵わなかったか。)
ヒロが肩をおとした時、

「父さん!」
椿が突然叫んだ。
その瞬間、アルヴァも動きを止め、ふーっ。とため息を吐くとそのまま心刀と能力である虹の剣を消した。
ヒロも何事かと思い、一瞬後ろを振り返る。
「あっ。」
目を見開くことしかできなかった。

椿が手をあげている。まるで、誰かから銃を突き付けられているようだ。
しかし、まわりにだれか居るわけではない。

「どうしてあなたがそこに…」
アルヴァが眉間にシワをよせながら呟く。
その瞬間、椿の背後がボヤボヤと曇った。

「友を救うためだ。」
ヒロは聞きなれた声と知っている顔に目を丸くした。

「ランス…。」

オレンジの髪が輝く。
椿の後ろでランスが見えなかったのは、彼が何か力を使っていたようだ。

椿の喉もとにはサーベルが当てられている。

アルヴァは唇を噛み締めた。

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あきゅろす。
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