エヴァ

「セイカはきっとアシェルを狙ってるんじゃない?」
とエヴァはフレイルに微笑みかけた。

セイカの味方のはずなのに、ペラペラとよくしゃべる。
(余裕の現れかな。)

「とにかく、僕は君を眠らせる。…できるだけ長く。」
するとエヴァが目を丸くした。
「あれ、あんたの力ってもっとすごいんじゃなかった?
精神のことなら、なんでもござれ。だろ?」

フレイルはその言葉にフーッとため息をはく。
「精神を破壊することも可能だけど、能力者の精神と戦わなくちゃいけない。

負けるとか以前にヴァンクールの精神を傷つけるかもしれないだろ。」

「そうか…」
エヴァが少し下を向いた瞬間、フレイルが一瞬で動いた。

そしてエヴァの額にフレイル自身の額をコツンとぶつける。

「うわっ!ずるい…したむい、て…」
そのままエヴァはパタリと倒れてしまった。

ー心の力はそれ以上手は出せない。
相手の意識がなくなれば、もちろん心は閉ざされる。
強制的に心の外に飛ばされてしまうのだ。


フレイルは目を閉じた。

ーーーー

「うわっ!」
アシェルがヴァンクールの寝ているベッドの近くでびっくりした。

「フレイルが帰ってきた。」
ヴァンクールの様子をずっと座って見ていたシエルは立ちながらアシェルとランナの方に振り返る。

「ヴァンの表情とかよくなったよ。」

「それでフレイルはなんて?」
アシェルの隣のランナがアシェルの服の裾を掴む。

「ヴァンクールの心の中に、セイカの前の心刀、前の太陽の能力者エヴァがいるんだ。
セイカが最後に太陽の力に願い事をした内容が今叶ったらしい。」

シエルは難しい顔をしてから、
「うーん。
じゃあ、ヴァンの太陽の力なのに支配されちゃった。ってこと?」
アシェルは一度首をかしげてから、
「一応フレイルがいるから完全なる支配は防げる。

でもいつかはまたそのエヴァは出てくるみたいだ。
まあまた眠らせないとな。多分当分は大丈夫。
…あっ!」

「今度は何!?」
急に叫んだアシェルにランナはとても驚いた。

するとアシェルが目を丸くしたまま
「さっきヴァンクールが頭が痛いっていってた。
それじゃないか?」
『急に心は眠ったり、起きたりしないからね。』
フレイルが隣で呟いた。

「それがエヴァが起きる前兆なのかも。」
シエルはホッとしたように笑う。
『あとね、ヴァン本人にもわかると思うよ。
エヴァが起きそうって。
かわりに自分の心は眠っちゃうわけだし。』
「なら一応は大丈夫だな。」
アシェルも胸を撫で下ろした。

「アシェルがついてあげないといけないね。」
ランナはにっこり笑ってから
「じゃあミカミにマッハで向かおう。
今のうちに寝てたら?」

その後アシェルとシエルと操縦室から戻ってきたサギリは交代でヴァンクールを見ながら、それぞれ休息をとったのだった。


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