勝利を目指して

「ねえ、
もうセイカに任せちゃおうよ。」
アシェルが心刀を抜いた瞬間にアンジェリカがメノリアに話す。

「ああ。
たしかにセイカ一人でも余裕だろうな。
フレデリカ!」
メノリアがフレデリカに向かって叫ぶと、フレデリカは着物を風になびかせながらメノリアの方へ歩いてくる。

「あの女の子2人、行っちゃったわよ。
この坊や、通してくれそうにないわね。」
フレデリカは困ったように腕をくんだ。

「でもね、あの子の力はあたしたちを消せる。
触られちゃだめなんだ。」
アンジェリカは顎を指で支えながら悩む格好をした。

「…じゃあ触れられなければいいのよ」

フレデリカは艶かしく笑って、槍を振った。

アシェルもその様子を見て心刀を顔の前に構える。

(来い。)


「行くわよ。メノリア、アンジェリカ。」
フレデリカを先頭にすぐ後ろにアンジェリカとメノリアがそれぞれ爆弾と大剣を構えた。


ーーーー

ウェルテスは痛む腹を押さえながらゆっくり起き上がった。

「あら、まだなの?」
セイカは
シャッ
と自らの心刀であるレイピアをだす。

「いいわ。ウェル…
聞きなさい。

私はほとんど城には戻らないわ。
でも、私を騎士から外せばいつか必ずカストレを潰すから。」

と、優しい笑みを浮かべる。
ウェルテスはこの笑みを見たことがあった。

(セイカがまだ城に"騎士として"王に…国民に…そして、俺たちに嘘をついていた時の笑みだ。


ー本当はカストレを守ろうなんて、そんなつもりなんかなかったんだ…。)


ウェルテスはやっと理解したような気がした。
今まで信じたくなかったから、自分に嘘をついていた。

悪いのはカストレなんだ。そして、国王とセイカ。
それを止められなかった騎士…。


「負けない。」
するとセイカは少し驚いたような顔をした。
「急に何?」

「私たちはお前を倒す。
お前の好きにはさせない。」
「イクサ…?」
「私も戦う。」
イクサが立ち上がって、セイカをじっと見つめている。

「お前にカストレはわたさない!」
そういってウェルテスは足にすべての力を込めた。


「あたしたちも!」
聞いたことがある明るい声で振り返ると、シエルとサギリがウェルテスとイクサのセイカを挟んで反対側に立って武器を構えている。

(アシェルが…?)

これで4対1。
こちらの方が圧倒的に有利となった。


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