三姉妹

見るかぎり、そんなに強くは見えない。
しかし、ヴァンクールが震えるほどの人物なのだから、5人がかりでも厳しいのかもしれない。

「そこの3人。
とにかく、セイカの正面には行くな。
目があったら、死ぬ気で避けるんだ。」
ウェルテスはスーツの裾をブーツの中に入れながら言った。

パンッ
不意に乾いた銃声が鳴り響く。

ウェルテス以外が音の発生源を瞬時に見た。

そこにはイクサが銃を構えていて、
セイカは全く動いていなかった。

「やっぱり、当たらない…」
イクサが呟いた瞬間。
ヴァンクールがくちをパクパクさせている。

それをみてイクサは
「エル…?」
とまたつぶやいた。


その声にセイカはちらりとヴァンクールを見たが、すぐに5人の方に視線を戻した。

「エルを…
じゃああたし何にもできないじゃんか」
イクサは眉を寄せる。

「援護くらい出来んだろ。」
ウェルテスは笑った。

そしてすぐに表情が真顔に戻ったと思うと、
ウェルテスのブーツの足元から急に青白い光が放たれた。

「フェアリーさん…」
シエルは泣きそうな顔をしている。
これがウェルテスの心刀なのだ。

「シエル…。」
アシェルも心刀フレイルを出す。

シエルはアシェルに微笑んだ。
「うん…大丈夫だよ。」
そして一瞬で心刀シャインを出す。

サギリは手裏剣を構えていた。


セイカはそれを見ながらニヤニヤ笑っている。
…嫌な笑みだ。

「わかった。
相手が5人はさすがに苦戦するかもしれないわ。」
右指を5人に指しながら、明るい顔をしている。

「だからー。
私も仲間を呼ぶわ。」
急に低い声になったと思うと、右手をそのまま空に向けてから、
バッ
と前に下ろした。

5人はそれぞれの武器を構える。

するとセイカの右手の平が目映く光ったと思うと、急に空間が裂けた。

「!?
なんだ?ジャンはいないんだぞ。あいつは心刀になってないだろ?」
ウェルテスのその言葉にセイカはにっこり笑って
「さぁ。」

そして手のひらの光が大きくなった。
ほとんどの人間が目を伏せるほどに。


その人々が目を開けようとしたとき、
「急に呼ばないでよ〜」
「その言葉使いはいけないわよ。」
と騒がしい女性の声がコロシアム内に響いた。


見たかんじ、3人のただの女だ。
しかし、セイカが呼び出す程ならば、それなりの力は持っているだろう。

一人は赤い髪の目付きの悪い女。
もう一人はキャスケット帽を被ったオレンジの髪の少女。
そして、紫の髪の落ち着いたイメージの女性だ。

「何者だ?」
サギリが手裏剣を構えながら低く唸ると、

オレンジの髪の少女が手を上げた。
「はいはーい!
私はアンジェリカでー、この目付きの悪いのがメノリア!それからこの紫がフレデリカ!
3姉妹だよ!」

ジャキンッ

そう言い終わった瞬間、3姉妹は一瞬で武器を出した。
心刀か、ただの武器なのかもわからない速さだった。

「俺はセイカに突っ込む。
おまえたち3人はあの姉妹を頼む。
イクサはヴァンクールの近くにいろ。」
ウェルテスの指令に全員うなずくと、5人は一斉に飛び出した。



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あきゅろす。
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