共闘

「セイカ!?
ってあの騎士の1番の?」
アシェルはヒロの放たれた一言に驚愕した。

(早く止めないと…。)
「ほんとだ!早く止めないと。」
するとヒロは目を細める。

「試合に乱入したりするのはまず無理です。
セイカのことだから、ヴァンクールを逃がすことはしないだろうし、あのリングのバリアで俺たちは中には入れません。」

「審判にあの人騎士だよ!って言えばいいんじゃない?」

シエルが話を聞いていたのか、急に話に入ってきた。
「そうだよな…。じゃあ、俺が…」
アシェルが呟くと、
(アシェルだめだよ!)
フレイルがあり得ない!といった声で叫んだ。

(君はカストレを抜け出した身だろ?そんな目立つことしたら、それこそ騎士に殺されちゃうよ!)
「俺は無理か…」

「じゃあ私が行く。」
そこで挙手したのはサギリだった。
「大丈夫。セイカのことは私もよく知っている。」

ヒロはそれにうなずいて、
「俺は飛行船を持ってきます。早くセイカから逃げられるように。ランナ来てくれるか?」
ランナがうなずいたと思うと、一瞬で二人は消えてしまった。

「では私も行ってくるよ。」
サギリも目の前にある手すりを乗り越えて走っていった。

「私たちはもし騎士がサギリかヴァンを狙うようだったたら、突っ込むよ。」
アシェルは静かにうなずいた。

ーーーー

「ようやく気づいた?」
姿はヤマトのままのセイカは微笑んだ。

ヴァンクールは動きたくても、もう体が言うことを聞かない。

「今からね。あんたを心刀にするわ。」
セイカが初めに使っていた剣を取り出した。

そして自身は指を噛んで血を流す。

ーーーー

モニターでその様子を見たアシェルは
「くそっ!」
と、手すりを飛び越えて行った。

「アシェル!」
シエルも後を追おうとした瞬間、

「はいっ?」
と審判のすっとんきょうな声がリングに響いた。

「騎士…ですと?
しかし、ちゃんと審査は通っていて…
…そういう力!?」

その言葉にコロシアム内がひどくざわついた。

セイカも
「バレたかな〜」
と笑いながら小声で言うと手を止めた。


ーーーー

「そうなんだ。
きっとヴァンクールを心刀にするために、ヤマトという男になりきっているんだ。」

審判はコロシアムが騒がしくなったので、マイクを外した。
「しかし…」

「セイカだ。騎士だよ。」
力強い気配を感じ、サギリがバッと後ろを見るとそこにはスーツに身を包んだ茶髪の騎士が立っている。
「これは大変なことなんだ。早くバリアをはずさないと、大変なことになるぞ。」

審判は急に茶髪の騎士が深刻そうに現れたので、黙ってうなずいた。

「バリアを解除してください。」
その一言にコロシアムはまたひどくざわついた。


「サギリ!」
その時、アシェルとシエルが走ってきた。

シエルはサギリの隣にいる茶髪の騎士"ウェルテス"を睨み付ける。

「今はそんな暇はないだろ。あと…王子の命令なんだ。今回はセイカを捕える。」
ウェルテスはシエルを見ないで言い放った。

「ウェルテス。」
控え室へと向かう入り口に目をやると、ピンクの髪の騎士"イクサ"だった。

シエルにとってとても嫌な場所であっただろう。
なんせ敵が二人もいるのだ。

「シエル…」
アシェルが心配そうに尋ねる。
「大丈夫よ。今はヴァンを優先しなくちゃ。」


「それでは準備が整ったので、バリアを外します。
しかし、観客が多いのですぐに閉めさせていただきます。」
5人は静かにうなずいた。

「なくなりました。」

それを聞いて5人はリングへと上がった。

ーーーー


「やる気じゃんか。」
5人がリングにあがって来たのを見て、セイカはボソッと呟く、

そしてヴァンクールの肩のレイピアを力任せに抜きとった。

そして、
「動くなよ、」
ザクッ
「んあぁっ…!」
今度はヴァンクールの左足に突き刺した。

「ヴァン!」
ヴァンクールの悲痛ないつもよりがらがらの声を間近で聞いて、シエルが叫んだ。


するとセイカはクスッと笑って、急にヤマトから姿が変わった。

「じゃあ、相手をしてもらおうか。」



セイカは明るい金髪の女性だった。

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あきゅろす。
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