チェックメイト

ヤマトはヴァンクールを見上げている。

ヴァンクールもヤマトを見下ろしている。


するとヴァンクールはすっと右手を上げ空を指さした。
自然とモニターの映像はその指と指した方を映している。

しかしこれといって変わったことはない。

すると、
「ヴァンの指先見て!」
ランナがモニターを指さした。
「光ってる…?」
ヒロも目を細めて見る。
たしかに先ほどより指先が光っている気がする。

すぐにそれは確信に変わった。
指先の光はだんだんと強くなっている。

ヤマトはというとその光を見てニヤニヤ笑っていた。

誰もがわかるほどに光が輝いた時、ヴァンクールは体を横に大きく開いた。
…まるでボールをなげるように。

そして、
ヴァンクールの指は思い切りリングの端を指さした。
そのままヴァンクールリングを真っ二つを切るように腕を速く振る。

「まさか…!」
アシェルが目を丸くする。
その予想は的中した。


「ドオンッ!」


この試合を見ている全員の眼前が真っ赤に染まった。
ヴァンクールの指の延長線上に何十mもの爆炎が火柱として上がったのだ。

あたれば確実な死…である。

「レーザーみたいなもんか…?」
ヒロがぽつりと呟いた。
「太陽の力…本当にすごいな。」


ーーーー
しかしやはりヤマトは避けていた。

ヴァンクールはそれを見て、また指を上に上げて、リングを指さして空中に線を描く。

今度は何回も色んな方向に。



「「ドオンッ!!」」


線がランダムなために先ほどよりも幾分かでかい爆発音であった。
それに比例して目の前の景色も始めて見る、恐ろしいものに変わる。

リング上はたちまち、火の海と化した。

ーーーー

(生きてるよな。)
ヴァンクールはヤマトのしぶとさに若干イライラしていた。

『ヤマトからは攻撃あんまりしてこないよね。』

ヴァンクールの右手に心刀マリを出し、
翼を大きく前に出して勢いをつけてから、風をきってヤマトの気配がするほうへ思い切り下降した。


ヤマトは火の海の中で剣を構えていた。
ヴァンクールは心刀でヤマトの手を狙う。

パンッ

「しまっ!」
銃弾はヤマトの手に命中し、ヤマトの心刀はくるくると回転しながらレーザーのせいでぐちゃぐちゃのリングの上に刺さった。

ヴァンクールはそのまま、隙の出来たヤマトの首を左手で掴んで勢いよく地面に叩きつける。

ゴンッ。
脳震盪を起こすんじゃないか。というような音をたててヤマトを地面に押さえつけた。

「うぅ。」
苦しそうなヤマトのうめき声。
しかしヴァンクールは驚きの表情を浮かべていた。

(ヤマトの周りに一切炎がない。)
そう、ヤマトを透明のベールで包むように"何か2つ目の能力"があって、ヴァンクールの太陽の力が全く当たっていなかったのだ。

ヴァンクールは
(この力って。)
そう考えながらヤマトの頭に銃を当てた。

(俺の勝ちだ。)



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