隠し事

「ランナに話聞いてみなよ、」
婉那は下を向いて、腕を組んで外を指さした。

「そろそろ、病室に移動してるくらいじゃないか?
ミカミの先生は治癒力が高いんだ。」
と時雨が言う。


アシェルとヴァンクールはランナの病室を探すこととなった。

「どこだろ…」
「シエルのとこかも。」

ーーーー


ガチャッ

「あっ。ランナ大分よくなったみたい」
2人が病室へ入ったと同時に、シエルがほっとしたように大声をあげた。


ヴァンクールがキョロキョロと部屋を見回すと、ふいにランナとパッチリ目が合う。

「ヴァン。僕、」
ランナはとても暗い顔をしていた。

ヴァンクールはゆっくり近づいて、ベッドに座る。
「大丈夫。」
そしてにっこり微笑んだ


ランナはうつむいて、何も言わなかった。


その時、
「ランナと契約したの誰なの?」
シエルが暗い声で言う。

ランナはその声にビクッとしてから、シエルから目をそらして、
「知らないよ」
と呟いた。

これがランナの選んだことなのだ。
自分と契約したのが、ヒロの姉だと言わないこと、

ヴァンクールは
形のよい眉をよせて、ただじっとランナを見ていた。

「ランナ…」
優しく名前を呼ぶと、ランナは暗い顔をあげる。

「絶対に守ってやる。」

その言葉を聞いて、ランナは初めて嗚咽をもらしたのだった。



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