驚き
アシェルが村に戻った時、
ヴァンクールはもうやることを終えて、アシェルたちの帰りを待っていたらしい。
シエルとヒロは病院送りだ。
「おかえり。時雨さん、見つかったみたいだ。あと、ランナと一緒にいた女の子も無事に見つかった。」
ヴァンクールがランナの方へよりながら、事の説明をする。
「そっか…。」
アシェルは目を伏せて、ランナをそっとおろした。
「…アシェル?」
ヴァンクールは目を丸くして、様子の違うアシェルを見つめてから、ランナを支えた。
「…っ!」
その瞬間、ヴァンクールは口元に手を当てた。
そしてよく見えるように首の後ろの髪を掻き寄せた。
「誰がしたとかはわからない…。」
アシェルが肩を落として、呟く、
「ランナと一緒にいた女の子なら知ってると思うよ。」
そう言って、ヴァンクールはゆっくり立ち上がって、
「ランナを病院に連れていこう。」
と呟いた。
「ああ。」
アシェルはまたランナを抱えると、怪我人全員がいるミカミの病院へと向かう。
(許さねえ。)
ヴァンクールの表情が怒りに満ちていたことは、誰も知らなかった。
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