決着

ヴァンクールはヒロの体を見て、本当に大変なことになってること位はわかった。

しかし、どうすればいいかわからない。

すると、
「ヴァン…。その男が薬持ってる。」
と、シエルの声。

ヴァンクールは走ってジャンを調べる。
すると胸ポケットから注射器がでてきた。すかさずヒロに打ち込む。


「遊女さん!誰か医者呼んできて。」
ヴァンクールが叫ぶと、入り口でゴタゴタになっていた遊女がみんな返事をして降りていった。


「はぁ〜」
ヴァンクールは深いため息をしてから、
シエルの方へ歩いていった。

「よく頑張ったな」
ヴァンクールは優しい顔をしてシエルの隣に座る。

「でもあたしはあまちゃんだから、止めさせなかった…」
シエルが目を伏せて言った。

ヴァンクールは「んー」とのびをしてから。
「シエルはそんなことしなくていいよ。」
そういって笑う。

シエルは眉を寄せて
「あたしは今、何人か許せない人がいる。その人たちも倒せなかったら…」

その言葉にヴァンクールも形のよい眉を寄せた。
「シエルは女の子だろ?」

「はぁ?」

するとヴァンクールが手を口許によせて笑ってから。
「女の子に殺しは似合わない。
殺しはけっこうトラウマになるからな。」
と、真剣な眼差しでシエルを見つめた。


「あたしはそれを覚悟してるつもりなんだけど。」
シエルは悔しそうに仰向けになって目を瞑った。


その時ヴァンクールは死んでいるナトリとジャンを目を細めて見ていた。



ーーーー

その時アシェルは森の中を歩いていた。
ランナを探すためだ。

ヴァンクールは村に戻るついでに森の中の捜索隊を呼んでくる。
アシェルはランナを探す。

(心刀の光が見えたのってここら辺だったよな。)
アシェルは先ほどみた、遠くの目映い光の場所をさがしていた。

何か嫌な予感がして、仕方がないのだ。


『あっ!見て!』
フレイルが叫んで地面を指さした。
アシェルがびっくりして見ると地面に血痕が点々としていた。

その血痕をたどって見ると。


「ランナ!」
そこにはランナがぐったりと横たわっていた。

アシェルはランナをだきよせた。

『命に別状はなさそうだね。』
フレイルはほっと胸を撫で下ろした。

たしかに気を失っているだけだった。

しかし、
(フレイル…これ。)
ランナの首の後ろに刺青があった。

『心刀の刺青だ…』


「誰がこんな…」
アシェルは唇を噛み締めて空を見上げた。


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