結末

ジャンもそれを見て剣を構える。


ヒロは音もなく、ジャンの方へ走った。
ジャンもまっすぐにヒロへと向かう。


ガキンッ!


金属の激しくぶつかりあう音。


ジャンは片手しか使えず、ヒロは両手を使えても毒が回って力が入らない。
五分五分だった。



その瞬間、ヒロがまたジャンの視界から消えた。


ジャンは前によろけるが、一瞬で後ろを振り向く。

ヒロは瞬間移動をして、後ろから思い切り刀を振り下ろしていた。

ジャンも剣を前に出す。
(やばい!)
ヒロの方が一瞬早かった。




ビュッ


…ドサッ
血が飛び散ったのはジャン、しかし倒れたのはヒロ。

「はあはあ…」
ジャンは荒い息をしながら血のでている肩を抑え、ヒロを見下ろしていた。


ヒロは口から血を流して倒れている。


「…危ない危ない。」
ジャンはふにゃっと笑ってから激痛に顔をしかめた。

そしてナトリの方へ歩いて行く。


「ナトリ姐さん。」
胸が上下しているのを見てジャンはほっとした。


そのままナトリを抱え、行きしなも使った、運搬の力でカストレへとつながる道を作る。



「はあはあ…」
ずるずると足を引きずりながらゆっくりと暗闇へと足をのばす。





パンッ
乾いた音がホールに響いた。

「へっ?」
ジャンは顔だけ後ろを向いた瞬間、胸に鈍い衝撃を感じた。

そして自分の胸元を恐る恐る見ると、

「あぁ…」


血がどくどくと出ている。

ドサッ。
ジャンが地面に倒れると、ちょうど隣にナトリの顔があった。

よくみると、ナトリの腹から血が止めどなく溢れている。


「弾が貫通したの…
誰が、?」
ジャンが重い頭をホールの入り口に向けると、


「お前は…」


銃を向けていたのはとても暗い恐ろしい瞳をしたヴァンクールだった。


「残念だったな。」
ヴァンクールはしずかにいい放つと、心刀をしまう。

「オリバーは?」
ジャンがびっくりしたように、声を震わせた。


ヴァンクールはヒロの手首に指を当てながら。

「死んだ。」

そっけない一言だった。

返事が返ってこないので、
ヴァンクールがチラリと目をやると、もう2人とも死んでいた。



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