シエルとナトリ

シエルも先ほどから鼻血を出していた。

ナトリと交戦を続けていくうちに、今度は口の中も血の味がする。

「ゲホゲホッ…」
たまらなくなって手を添えて咳をすると、パタパタッと手のひらに血がつく。

シエルは目を見開いた。

鼻血が喉に下って来ているのではなく、本当に吐血している量だったのだ。


『大丈夫。落ち着いて、』
シャインが静かに呟く。
シエルはうなずいた。


鎌を後ろに振り上げる。
ナトリはそのようすを見て、距離をおいた。
そのまま千本を投げつける。

「はあっ!」
シエルは先ほどの鎌を体を軸にして勢いをつけ、思い切り降り下ろした。


ザクッ、

地面に鎌は刺さった瞬間、そこの床板が勢いよく捲れ、そのままものすごい速さの衝撃波となってナトリに向かっていった。

さっき投げたナトリの千本なんか、一瞬で吹き飛ばされる。

「チッ!」
ナトリは小さく舌打ちすると、衝撃波をジャンプしてかわす。

その瞬間をシエルは狙っていた。

ジャンプしたナトリの目の前にシエルは現れ、そのままナトリの顔を手で押さえる。
「うぁ!」

悲痛な声をあげるナトリに構いもしないで、
ガンッと
思い切り地面に頭を叩きつけた。

「うぅ。」
先ほど頭を強く打ち付けたせいで、ふらふらになっている。

シエルは倒れているナトリの上に馬乗りになって、ゆっくりと手をはなした。

ナトリは頭を横にして、きつく目を瞑っていた。
「うぅ。」

そのまま意識がはっきりしてきたのか…ゆっくり目を開けた。

視界が定まらない様子でシエルの方を見る。
『シエル!』
その瞬間、シエルは叫ぶ。

「あたしの目を見ろ!」


ナトリはびっくりしてシエルの瞳を見てしまった。

この瞬間に勝負は決まっていた。




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あきゅろす。
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