12時

「次は誰なんだろ、…ランナとか?」
俺はもう嫌だと付け足す。

『オリバーは何に化けてるんだろ、ちゃんと13時にはわかるのかな。』
マリは手に顎をのせて考えている。

「12時かぁ…」
ギィ…





「ここは…」

扉を開くと、そこは
『バレンチアの中。』

しかも、周りにはたくさんの機械がある。


「ヴァン!」
ハッとしてモニターの前に視線をむけると
そこには懐かしい、フェアリーとアルフが立っていた。

声が出ない。何を言えばいいかわからない。

さっき偽シエルにあんなことを言われたものだから、はっきり言って…つらかった。


「ヴァン。頑張ってるな。」
いきなりアルフがニコニコして大きい声を出した。

咎められない…


「頑張ってるヴァンにヒントをあげましょう!」
フェアリーが満面の笑みをして手招きした。

俺は何も考えずに、フェアリーの方へ走っている。
マリは何も言わなかった。


俺が2人の前まで走ってきた瞬間、急にフェアリーに抱きしめられた。
「大きくなったんじゃないの?」

「最近会ってからそんなに経ってないよ。」
するとさっきよりももっと強く抱きしめられる。

「おい。フェアリー。これでもヴァンは17なんだから。」

「これでも?」
俺は頬を膨らます。

「あははは!」
まるで幻でないような、あのときと変わらない。暖かい空気…


「そうだ!
13時が終われば、きっとあなたの勝ちだから。」
フェアリーがニコりと笑う。

「あと1時間…がんばれな。」
アルフも笑った。


ここは俺の家だ。
そして、みんな俺の家族だ…

「絶対に太陽を守るから。」

2人の笑顔がこちらに向けられて、
霞んでいった。



周りの景色はかわり、大広間になった。
「オリバー。お前は何がしたい?」


次は13時、これで終わることを願う。



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