11時

ギィ…


ぶわっ
「うわっ。」
入ってすぐにものすごい突風に煽られて、俺はよれめいた。


この風をしっている。

後ろを見ると、
「飛行船。」
バレンチアの飛行船。

懐かしい突風だ。


「ヴァン。」
そして、聞きなれた声。

「シエル…」
心刀シャインを構えて、シエルが飛行船側に立っていた。

なんであんな怖い顔をしているのだろう。

『ヴァン。様子が変だよ.構えて。』
一応俺はナイフを構えたが、

(戦いたくない。)


するとシエルが
「あたしが怒ってる理由わかる?」

カチャ
完全にシエルがこちらに鎌を向けている。


『ヴァン!一時間逃げたら?』

マリの急な提案に俺はハッとした。

「ヴァンがフェアリーさんを助けてくれたら!」

ギュンッ

シエルは体を軸にして思い切り鎌を振った。
目でわかる禍々しい風の刃が一直線にこちらに向かっている。


すれすれのところで
バタンと地面に倒れてよけるが、
シエルの言葉が胸を深くえぐった。

『ヴァン!シエルはそんなこと考えたりしないよ。』
俺は黙ってうなずくが、それでも胸の奥深くに確実にその言葉は積もった.

シエルはすごい勢いで鎌を振り続けた。

かなり早い風の刃は避けるのが厳しい、


「ヴァンがランナより先にフェアリーさんのところに来ていたら!
バレンチアは滅ばなかった!」


そうだ。俺にもっと力があれば…


(誰も死なないのに。)
ギュンッ

『ヴァン避けて!』

鎌鼬は俺目掛けて飛んでくる…
『ヴァン!』



目の前、ギリギリで
鎌鼬は時計に変わった。





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あきゅろす。
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