8時
俺はマリには話しかけないまま、次のドアを開いた。
ヒントを聞くために。
(アストラシア。)
ドアを開くと、そこは夜のアストラシアだった。
そして目の前に立っている人物…
「マリ…」
『今度はマリか。』
半ば諦めたようにマリが言った。
生きている時のマリは何故か悲しそうな目をしている。
「マリは15歳のマリなのか?」
目の前のマリは静かにうなずく、
「ヴァン。オリバーは酷なものでは生きれない。」
マリがいきなりヒントを言うものだから、俺は少し戸惑った。
しかし、次の瞬間視界の奥に何かが煌めく。
それがセイカの金髪だと、気付いた時に目の前のマリが光と共に見えなくなって、(きっと15歳の)ヴァンの叫び声が聞こえた。
(ああぁ…。)
このことは本当によく覚えている、
俺は何も言わずにマリの耳と視界を塞ぐようにして、抱き寄せた。
『ぅぅ…』
俺は周りの凄まじい音を聞きながら、目を閉じる。
音が鳴りやんでから、少し経った後マリを離す。
『大丈夫だよ…』
マリは泣きながらうなずいた。
今考えるようなことじゃないだろうけど、
俺はやっぱりマリが好きだ。
強くて優しい心を持った…
誰にも渡したくない。
ずっと触れていたい。
(俺、頑張るよ。)
マリは泣きながら、また俺に抱きついた。
『マリも頑張るよ。』
次は9時。
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