6時
俺は無言で次の扉を開く。
この扉は重く深く感じた。
ここはまた庭だ…
「また俺の家?」
眩しくて見えにくいが、木の根元に小さな子供が、大人と向き合っている。
『あれ?赤い髪。小さいときのヴァン?』
マリが俺に尋ねた。
全身の体毛が逆立ったような感覚に襲われる。
「セイカ…」
幼いヴァンクールと会話しているのは、…あの金髪の長い髪。
間違いなくセイカだ。
しかもあのときの、セイカが父さんを殺しに来たときの。
自然と体が震える。
『ヴァン!大丈夫!?』
マリが本気で心配していた。
目を背けちゃ…駄目だ。
この時、何が起きたのか。
――――
「お父さんはヴァンが好きなの?」
セイカがニコニコ笑って問いかける。
「うん!俺もお父さん大好きだから!」
幼いヴァンクールは照れながら笑った。
その時、
「ヴァン!逃げなさい。」
父さんの本気で焦った声、
幼いヴァンクールがちらりとセイカを見てから父さんの方へ走り出した瞬間。
セイカは右手を幼いヴァンクールの頭の上にのせた。
その瞬間、太陽の光の中に鮮血が飛び散った。
「ヴァンクール!」
父さんの叫ぶ声と、
「ざまあみろ!」
セイカの笑い声
そして音もなく倒れる頭から大量の血を吹き出した俺…
――――
俺はただ呆然とその様子を見ていた。
気がつくと時計が7時を指していた。
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