1時
※ヴァンクール視点
重い扉を開くと、
「あっ。」
目の前には俺の家の2階。
「俺の部屋だ。」
入って左側には懐かしいシングルベッドがあり、そのとなりには勉強机がおいてある。
いたって普通の部屋だ。
その時体が暖かい風に包まれた。
(あ…)
一度目をつむって開けると、目の前には
「おじさん。」
勉強机の椅子に、眼鏡をかけて微笑んでいるおじさんがいた。
「ヴァン。大きくなったな。」
…これは幻なんだよな。
優しくて暖かい。本当の愛に触れている感覚。
「ここはヴァンの意識の中だから、俺は昔のまんまだよ。君の中にあった記憶、そのまんまの俺。」
オリバーは何がしたいんだろう。
「ヴァン。」
名前を呼ばれて、びっくりした。
「…何?」
「次の部屋で会おう。そろそろ2時になる。」
俺が手を伸ばした瞬間俺は何故か初めの大広間の時計の前に立っていた。
時計は2時を指している。
『時間のすすみかたが違うんだね。』
マリが小さく呟いた。
俺は次の扉へとあるきだす。
おじさんの次の部屋で会おうという言葉を信じて…
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