白き貴婦人
two
「頼むから、あまり俺を煽るな」
「え……?」
「天然か、計算か……この際どっちでもいい。ただ、あんたを前にすると俺はただの男になりそうになる。他の男だって、きっとそうだ」
そんなつもりは全くない。
そう叫びそうになった。
もしや自分では気づいていないが、何か男を惹き付けるフェロモンでも出ているのだろうか?
無意識の内に?
…………まさか、ジェリコもそのせいで私の想いに応えてくれたのだろうか?
アマネは急に不安になった。
なにかしら、上手く事が運び過ぎている気がしてならない。
それが余所者の特権というか、特殊能力に近いものであるにしろ……あまりにも、好意的過ぎる。
アリスの気持ちがよくわかったような気がした。
怖い。
ジェリコが、もし、よくわからない力で私を好きになっていたとしたら。
絶望だ。
暗い気持ちに侵されたアマネは、見るからに顔色が悪くなり目尻に涙が浮かぶ。
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