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「は? 桜庭......?」
「か、いちょう。」
かろうじて絞りだした声は恥ずかしいほどかすれている。
どうしよう、どうしよう。
今すぐここから逃げたいのに、視線を会長からそらせない。
「りくーっ! 遊びにきてやったぞー! あっ、また仕事ばっかりしてっ!! 友達がきたんだから遊ばなきゃだめなんだぞ!」
部屋のはしで突っ立っている俺を追い越し、会長に駆け寄っていく転校生を視界の端にぼんやり映す。
腕を握られ、ゆさゆさと揺すられた会長は、今気づいたというように転校生に視線をうつした。
「お前、何回言ったらわかるんだ。ここには来んなっていってんだろうが。一般生徒の立ち入りは禁止だ。」
「でもっ、俺りくの友達だしっ!」
「だれがお前といつ友達になったんだよ。あ? 気安く呼ぶな。っていうか、前もこれ言わなかったか? てめぇの脳みそには何がはいってんだよ。」
そう強く言って、腕を振り払った会長とまたもや目が合う。
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