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な、なに。
誰かがいるだろうことは想定していたけれど、まさか呻き声を上げられるとは思わなかった。
それに、この手の感触。
開けたドアの裏に誰かいるっ。
この状況で名乗り出ないということは、相手はきっと俺の知らない誰か。
そして、ここにいることが見つかってはまずい者。
俺は、お金持ちのお坊ちゃんには珍しく護身術なんてものは習ったことがない。あんな汗臭そうな運動イヤだったし、興味もなかったし。
渋る親を説得して、なんとか了承を得てもらって。
それなのに、こんなことになるんなら基本ぐらい教わっておけばよかったと後悔。
俺は生きてここから出られるのか。
それはきっと、俺の好奇心と相手次第。だけど、
とりあえず、相手を確認しなければ始まらない。
それは、全身黒ずくめの男か、眼鏡をかけた秀才風のスパイか。
まぁ、どちらにしても俺に勝ち目はないのだけれど。
気になるのだからしょうがない、と。
俺は、左手で握るドアのぶを思いきり後ろへ押しやった。
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