4
「......あれ、これ少なくないですか?」
まだ怒りが収まらないのか、眉間のしわをいつもの倍濃くした冬至に、書類を渡された子の声がかかる。
少ない......?
それは、おかしい。あの書類はたぶん生徒会から渡された書類で間違いないだろう。
生徒会とは冬至と会長の仲もあり、ほぼ敵対していると言っていいが、これまで生徒会から回ってきた書類に不備があったことなんて、
「あぁ、それか。」
え?
「今日締め切りの書類はそれだけしか受け取れなかった。あとのはまだ出来ていないそうだ。」
「ぇ、」
出来ていない? そんなこと今まで一度も。
「はっ。ついにボロが出てきたってことだ。あいつに生徒会長なんて所詮無理だったんだ。」
「委員長......。」
最高に気持ちがいいというように声の調子をあげて話す冬至に、飛ぶ声。
振り返れば、微妙な顔をした慎吾くん。なにかを言いたそうに口をぱくぱくさせる彼を見、
「言葉と顔が一致してないって。」
より一層、微妙な顔をした冬至の姿を映す。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!