3
「うぁ。あれ......。」
渡り廊下を早足で渡り、着いた教室。
背後から吹く追い風に背を押されるように、いつも通り中へ入ろうと銀のドアのぶに手をかけ、回すも、......開かない。
あら。
「なんでだろ。鍵かかってる。」
普段ならありえない事態に驚きながら、手を離す。
ドアにつけられているガラスの傍から中を伺えば、確かな灯りを感じられた。
と、なれば。
正解はひとつしかないよな、うん。
目の前にそびえ立つ木製のドアに拳を当てドンドンと叩く。
近所迷惑なんて知ったことじゃない。
この時間に起きてない生徒が悪いんだ。
「あけてー。俺だよー、桜庭だよー。俺、こんな寒いとこいたら風ひいちゃうよー。いやだよ、風ひきたくないよー。」
きっと、この中にいるのが普通の委員なら、顔を真っ青にして早急にこのドアを開けにくるだろうし、幼馴染み兼上司のあいつでも、めんどくさいと文句を言いながら渋々俺をこのなかに入れてくれるに違いない。
結局、どう転んでもこのドアは開くのだから、ここまでやる必要など本当はないけれど。
楽しいことは、そういう考えで決めるものじゃないのだ。
すべて、本能に従うのが一番だ。
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