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会長、猫舌なんだ。
目の前で繰り広げられる光景に、少し前の会長の姿を思いだし、その答えに辿りつく。
でも、だったら。
言ってくれればいいのに。
そんな、意味もないことを心の片隅で感じながら、会長を見つめる。
その、険しくも、なんとも言えないその表情に、あの夢の彼がダブった。
「はっなんだ、貴様。猫舌なのか? あの生徒会長様がコーヒーもろくに飲めない猫舌なんてな。」
「うっせぇよ。カスが。」
「なんだ、貴様。いつも生徒会室で飲むときは、息を吹きかけて冷まして飲んでいるのか? はっ、それはさも見物だろうな。天下の生徒会長様がふーふーとは。」
先程、やられた分の腹いせか。
いつにも増して、会長を攻める言葉の数々にいい気はしない。
「ふっ。黙りか。まぁ、いいんじゃないか。猫舌というのは、なんの罪にもならないんだからな。」
なぜか、反論しない会長にも腹がたつ。
あぁ、いや。違う。
本当のことだから反論できないのか。
会長もきっと、自分の猫舌をいい風には思っていないから。
冬至が言っているようなことを、会長も自分で思っているのかもしれない。
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