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「ちっ。」
そんな、冬至への掃除の執着心に思いを馳せていた俺の思考を中断したのは、会長の見事な舌打ち。
その音の鳴った方へ視線を動かせば、いつの間にやら、冬至の傍でコーヒーを受けとる会長の姿が。
二人揃って、学園の一二を争う美形のせいか、その光景はどこぞの画のように美しい。
「全て飲み干せよ。バ会長。」
「うっせぇな。分かってるよ。俺に指図すんな、クソ風紀。」
会話の内容を聞くだけで、その画はぼろぼろに崩れ差ってしまうけど。
「おい、どうしたんだ。」
いつまでもコーヒーを見つめ、口をつけない会長に焦れたのか、冬至の不審な声がとぶ。
それに、会長は一瞥をくれると、酷くゆっくりそのカップを傾けた。
そして、
「......っ。」
あつい、という顔。
これぞ正しく顔に書いてある、というやつだ。
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