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「ぁ、え......、さくらば。」
そう小さく呟き拳を握る会長に、つい先ほど。言うときにはなかった緊張が俺を占めていく。
どくどくと身体中が熱い。
今はただ、聴こえてくる声に耳を傾ければいい。
「ーー......好きだ。桜庭。」
ーー......あぁ、俺も。
「ぁ、............うん。俺も、すきだよ。」
あーもう。顔があつい。
「あぁ、桜庭のことがすきだ。」
「え、あ、うん。俺も、......すき。」
気持ちを伝える瞬間、身体の奥から顔を出す暖かさ。言い様のない、優しさ。これがきっと。
「ていうか、会長。さっき走っていったのって、会長が俺のこと5年間」
「はっ!? ちげぇよ! 断じてそんなことはねぇからな!」
彼がもたらしてくれた、どうしようもない幸せ。
これは、たぶん。
いいや、絶対。
俺にとって、人生で一つの宝物になる。
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