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会長を前に押し出す形で、自分は後ろに。二人のやりとりを見守ろうとしていた矢先。あのっ、っと。

2回目の呼び声に、後ろから顔を出す。


「あ、あのっ! ぼくっ、会長様ではなくて桜庭様にお話があってっ。」

「え、あ......うん。」


てっきり会長に用事があると思っていたから、驚きつつ足を動かす。会長の視線が一瞬、頼りなく揺れたのが見えてこの先の展開が予想できてしまった。



「あの、」



親衛隊とは、その人を崇拝する者。その人を尊敬する者。その人を守りたい者。その人が好きな者。

そんな人たちが入る組織で、その人たちは皆一様にその人が好きで。見返りを求める者。そうでない者。そんな違いはあっても、その人を大事に思っているこは変わらない。



だから。

彼が俺の目の前に立っている理由も、その身体が震えている理由も、いまにもこぼれ落ちそうな涙を目にいっぱい浮かべている理由も。


分かる気がした。




「さ、......桜庭様っ!」

「......うん。」



会長も、信じられないことに俺と同じ気持ちでいてくれたのだとわかった。俺が好きだと、そう伝えてくれた。

だから俺も。


目の前の彼に正直な気持ちを伝えよう。







「おめでとうございます!!」


「あ、うん。............ーーえ?」


「桜庭様と会長様! 本当におめでとうございます! 僕たちもすごく嬉しいですっ。」



ーーえ?


嬉しい? 彼は今嬉しいと言ったのか。

悲しいの間違いじゃなくて?






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あきゅろす。
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