13
愛先輩と錦の横を静かに歩いて、廊下に出る。会長と手を繋いでいた方の右手。
いきなり離れた会長の手に、残念な気持ちになりながら小さく息をはく。その時、
............え。なにこれ。
冷静になって見えたのは、生徒会室を取り囲むように、ずらりと並ぶ生徒たち。少し様子がおかしいな、と観察してみればすごく嬉しそうな子、大量の涙をながしながらこちらを見ている子もいて。
なにこれ。全く状況がつかめ......、ーーあれ。
「............。」
ふと目についた、新聞のような紙に視線が釘付けになる。それは会長も同じ様で、二人無言のままこの状況を整理する。
あれは、この学園の校内新聞ではなかっただろうか。
その月の行事や、行われた行事の結果。なにか重大なことでも起これば、1日に何号でも印刷される新聞。
それがどうして今?
そこまで考えて去年同室者だったやつの顔が浮かぶ。
そうだ。悠のやつ、さっき生徒会室でカシャカシャと不気味な音を鳴らしていた。その後、なぜか一瞬居なくなってて、......まさか。
「......犬飼か。」
会長の声に、大きく頷く。怒りや恥ずかしさやらで、引いていった熱がまたもや復活しそうだ。
「あの、」
「ぇ?」
生徒たちの集団のなかから一人、見覚えのある顔。たしか会長の親衛隊の子だった気がする。
小さく震える左手には、あの新聞が握られている。きっと、あることないこと書かれているんだろうなぁ、と思いつつ身体を引いて会長の肩を押す。
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