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「で、でもっ。俺はっ......!」

「聞き分けなさい。」



ぴしゃり、と。それでいて優しく。
うずくまる太陽くんの髪をすく副会長は、今まで見てきたなかで一番優しくみえて。


だけど、俺にはそれよりも。

あの太陽くんが、あんなに落ちこんでいるのが酷く気になって。



太陽くんが、完全に顔を伏せたのと同時。立ち上がった副会長は、その顔を少ししかめて俺たちの後ろ。悠たちへと視線を......、


............ん、あれ。悠がいない。



「神崎くん。そういうことですので。太陽は私がしっかり監視します。」



え、監視?

副会長からいきなり出てきた不穏な言葉に、急ぎ副会長を伺う。


「んー、まぁそれならそれでいいんだけどねぇ。どっちみち、副会長が面倒みてくれないとぉー、その転校生退学になっちゃうしぃ。」


その言葉を、なんとも思っていないように話す会計に思わず息が漏れた。



「え、退学ってなんで?」


自分でも知らないうちに、会長を見ながら吐き出していた言葉は、横から入った声に掬われた。


「そりゃあ、桜庭くん。太陽くんは、彼の叔父さまの理事長代理が裏裏で入れた子だもん。いわゆる、裏口入学ってやつだね。」

「裏口入学?」


そう聞き返しながら、悠が戻ってきていることを知る。


「そうそう。だからさ、」


そこで言葉を切った悠は、その顔をそのまま副会長へと向ける。

その表情は、悠にしては珍しく真剣そのもので。


「副会長。これからはちゃんと」

「......犬飼くん。」

「え?」

「それが素なんですか?」

「ぇ、あ、......ああああぁー!」


うわー。どんまい、悠。

でも、会長も知っちゃった今、その反応も今さらな気がしないでもないけど。





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