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悠の不気味な笑顔から視線をそらし、太陽くんを見る。

太陽くんの目に俺は映らない。彼は、会長を見ているから。



「り、りくっ! これが俺のほんとの姿なんだ!! 今まで隠しててごめんっ。でもおれっ。ほんとにりくが好きだから!」



黒いウィッグと、分厚い眼鏡。黒のカラーコンタクトまで涙でとりさらった太陽くんは、もう別人にしか見えない。

話し方や動作。そこに以前の彼を見つけるけれど、何よりの証拠はやはりその想いで。



「俺、りくが好きなんだ!! だからりくも俺のことっ!!」



少しの不安と、少しの自信が混じった言葉に、会長は小さく眉をしかめる。



「何を勘違いしてんのかしらねぇが、俺はお前のことなんて好きじゃねぇ。」

「ぇ、なっ......!」

「俺が好きなのは、」



ーー瞬間。
重なる視線に、手をぎゅと握られる。



「俺が好きなのは、こいつだ。」




ほんのり赤く染まった頬に、募るのは言い様のない愛しさ。




「え、な、何言ってるんだよ! りくが好きなのは俺だろ!!」


目に見えて動揺する太陽くんに、俺の手を握る力を強く会長。


「なんでだよ!? 俺、りくのことが好きなのに!! なんでりくは俺のことっ」

「......太陽。」


理解できないとばかりに頭を抱える太陽くんの腕を掴んだのは、今まで空気とばかりに存在感を消していた副会長で。


あれ、副会長いままでどこにいたんだろう。

太陽くんと会長のことばっかりで、副会長のことを忘れていた。


「太陽。聞いたでしょう? 会長はあなたを好きではないんです。」 

「そんなわけない!! だって! 俺が好きなんだっ。俺が好きものは、俺のことも好きに」

「太陽っ!」

「......っ、」


副会長は本物の笑顔を消して、太陽くんを見る。
太陽くんに対して、あんなに鋭い声を出す副会長を見るのは初めてかもしれない。




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