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俺が会長の袖のはしっこを掴んでいるのと同じ思いで、会長の腕を掴んでいるのだと知っている。


俺が会長を見つめるのと同じ思いで、会長を見上げているのだと知っている。


俺が会長を思うのと同じ思いで、彼も。彼も、会長を思っているのが分かるから。




「りくっ! りくっ!」



それでも、



「りく! どうしたんだよっ!! なんか、へん」


「太陽くん。」


「......ぇ?」




それでもーー。




「太陽くん。会長から離れてくれないかな。」




会長のことが好きだから。


俺だって、誰より会長のことが好きだから。




「え? あ、......しのっ? ......っ! なんでしのにそんなこと言われなくちゃいけないんだ!! 俺は、りくとっ」

「桜庭の言う通りだ。」

「えっ、りく......。」



転校生のもっともな言い分に、口を開こうとした瞬間。
会長の放った言葉に、転校生が一歩後ろへと下がった。

その転校生を追うように、生徒会室へ足を踏み出した会長をそのまま追う。



いつの間に前へ出ていたのか。

理事長にここを任された会計くんの視線は、興味深そうに会長を見ている。



「何回言ったらわかんだ、あ? 気安く名前を呼ぶんじゃねぇ。俺はお前の友達でもなんでもねぇ。」

「え、あ! り、りくは友達だろ! どうしても友達がいやなら、こ、こ、恋人になれば」

「あ? ......てめぇ、なに言ってんだ。」



少しばかり目を見開き、転校生を訝しげに見つめる会長に、こちらも同じ反応をする他ない。




いま、太陽くん。


恋人って言ったよね?




あれ、え。なんでそんな話に。






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