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その扉の先は




「じゃ、俺は理事長室いってくるわ。こっちはよろしくな、尚。」



そう言葉を残し、手をひらひらと振りながら、目的地へと向かう理事長の後ろ姿を見送る。


会計と理事長が、まさか甥っ子と叔父の関係だったとは思いもしなかったけれど、じかに理事長を見た今、会計と似ていると言われれば似ているような気がしないでもない。......かもしれない。


「よーし。じゃぁ、いこっかぁ。みんな、たぶんもう来てると思うしぃ。」


会長が、生徒会室のドアに手をかけたのと同時。会計の一言で、開く扉。


その向こうから、



「りくーっ!!」



あぁ、と。

純粋な笑顔を振り撒き駆けてくる彼に、また嫌な自分が顔をだす。



「りくっ!! 一体どこにいたんだよっ。昨日あれからずっとさがしてたんだぞ!」



俺と会長の間に入りこみ、会長の腕をぐわんぐわんと左右に振る転校生に、身体が重くなるのを感じる。

ほぼ反射的に会長の横顔を盗み見れば、そこにあったのはいつも通りの冷静な表情で。



「、」



つい先ほどしたばかりのやりとりはまだ記憶に新しく。会長が俺に嘘をついているなんて、そんなことは思わない。会長は、会長は、彼は。




転校生じゃなくて、ーー俺を好きだと言ってくれたから。




だけど。だけれど、


やっぱり嫌なんだ。





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