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と。
手に、何かが触れる感触。
反射的に、顔を上へ持ち上げていた。
「会長......。」
こちらを痛いくらいに見つめてくる鋭い目とかち合う。
表情は、......やはり嫌だったのか。怒ったように歪んでいて。
「かいちょ、」
「俺は。」
耳は、なぜか真っ赤で。
握られた手の力が強くなる。
「俺は。......俺も、お前が好きだ。愛してる。付き合ってくれ。」
............え。
「かっ、かいちょうっ。」
今なんて。
驚いて、手を握って、身体が震える。
「かい、ちょう。」
辛うじて声を出しながら、目の前の会長を伺う。
まだなにも理解できてない。そんな頭で、
「会長?」
すると、どうしてか。会長の方も目を真ん丸くしてこちらを見ている。
まさか。さっきの言葉も、
「会長。さっきの、」
「あ、あぁっ。違う! さっきのは違って、」
やっぱり......。
あー、もう。ほんとに一体誰なんだ。こんなたちの悪い嫌がらせ。
一瞬でも一秒でも期待してしまった俺が恥ずかしい。
「そう、だよね。ごめん。」
「え、あっ。いやっ、謝ってんじゃねぇ。違うって、わけじゃなくて。俺がお前を......、その好きなのは本当で。」
「え............?」
いま、なんと。
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