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俺は、
「会長がす」
「好きなんだ。愛してるんだ。だから俺と付き合って。」
そう。付き合って、って......。
「え............!?」
え、えっ!? なに今の!
どこからともなく変な声がっ。
俺の声が、どこかから勝手に!
「ぇ、......さくら、ば? いまの、」
耳を打つ、震えた声に我に返る。
目を大きく見開いて、こちらを見てくる会長に大急ぎで首を横に振る。
「え、ぁ。違う、違うっ! 今の俺じゃなくて」
「ちがう、のか。」
「ぇ、あ、いや。違うくはない。違うことはないけど......。」
言いながら、きょろきょろと辺りを見回す。
一体誰だ。
俺の言葉を遮って、会長に愛の告白をしたやつは。
俺の声に似すぎてて、一瞬分からなかった。ほんとに自分が言ったかと、
「おい。桜庭っ!」
「ぇ、ぁ」
突如、身体が引っ張られる感覚。足は意味もなく砂の上を走って。
息が苦しい。
「かい、ちょ」
視界の端に、不自然に上がった紺色のネクタイが見える。
至近距離で合う視線。
会長の表情は、戸惑いと驚きで縁取られている。
「......会長? どうし」
「さっき言ったことは本当なのか?」
「え?」
「さっきの言葉は本当なのかって聞いてんだっ!」
会長の瞳に映る、俺が歪む。
なんでか分からない。どうしてか分からないけど。
会長の頬が、また濡れそうで。
「本当だよ。会長が好き。」
そう言った途端、ネクタイから離れていく会長の手。
それを反射的に捕まえて、ゆっくりと指を絡める。
どくどくと煩い心臓を押さえつけて、おそるおそる会長を伺う。
絡まる視線。
上気した頬。
固く結ばれた唇。
その一つ一つに見たことのない会長を見つける。
頬に残る涙のあとさえ、愛しくて。
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