2 「会長。」 「............っぁ!」 震える腕を後ろから捕まえる。 驚いたようにこちらを向いた会長の背中に手を回して、そのまま強く引き寄せた。 「は? ちょっ、おいっ!」 暴れる会長の顔を肩において、強く抱きしめる。 会長の体温がぴたりと俺にくっついて、頬があつい。 身体の至るところから熱が上がってくるみたいに。 こんな時でなかったら、俺にこんな真似できないだろう。会長、俺より確実に力強いし。 「さく、らばっ!」 すぐ傍から戸惑ったような声が聞こえて、腕の力を強くする。きっと会長は嫌だろうけど、すぐに済むから待ってほしい。 俺の気持ちを誤解してほしくないという、俺のわがままをきいてほしい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |