犬猿の仲という言葉がぴったりなふたり
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「はぁ......。」
一瞬で重苦しい空気になった室内に、自然とため息が漏れる。
これなら、さっきまでの気まずい沈黙の方がよっぽどよかった。
すでに戦闘体勢に入っているふたりにそんなこと言っても、無駄だろうけど。
「おい、貴様。なぜ貴様がこんなところにいる。ここは、貴様のいるべきところではないぞ。さっさと生徒会室へ帰れ、バ会長が。」
「あ? うっせぇな。どこでなにしようと俺の勝手だろうが。俺は今ここでコーヒー飲んでんだ。見てわかんねぇのかよ、クソ風紀。」
「貴様っ! さっさとそのコーヒーを飲み干して元来た家へ帰れ。貴様がいると余計なホコリがたつ。」
「はっ。誰がいてもホコリぐらいたつだろうが。ちぃせぇんだよ、男が。だいたい、今日俺が来たのは、昨日生徒会室に届くはずだった書類がまだ来てねぇからだよ。」
「書類? 書類とはなんのことだ。」
本当に分からないような表情をつくり、眉を寄せる幼馴染みに、さっきとは違う冷や汗が伝う。
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