5
「冬至、」
「お前。」
「ぇ?」
被せられた声に、言葉が止まる。
若干俺より高い身長でこちらを見下ろす冬至は、もう席を立っていて。
「お前。......どうしてあいつを気にかけているんだ。」
「え、......あ、いつ?」
あいつ。
あいつって言うのは、
「バ会長のことだ。お前は最近あいつを気にしていただろう。昨日も朝来ないと思えば、生徒会室に居たらしいしな。」
「え。」
なんでだ。なんでバレたんだ。
俺、そんなこと一言も......。
冬至の顔を見る。その表情にはなんの感情も浮かんでいないようで。
「で、どうなんだ。桜庭。」
「えっ、ぁ。............おれはっ」
冬至の切り目にあったはずの視線が、徐々に徐々に下がっていくのが分かる。
なんて答えればいいんだ。
会長が好きだからと、だから気にしているとそう言えばいいんだろうか。
だけど、そんなことを言えば会長の迷惑にならないだろうか。
会長が転校生と。転校生とどうにかなるのは必然で。
きっと時間の問題で。
冬至が会長に言うとは思えないけど、もし会長に伝わったら。伝わったら、困る。
俺が会長を好きなんて、そんなことーーーー、
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!