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「桜庭。」



部屋へ着いたのか、急に止まった背中にぶつからないよう足を踏ん張る。こちらに差し出される手に、ポケットにある鍵を取り出した。



ガチャリと錠の解ける音に、足音。ドアを奥へ押しやり、その後へ続く。




他の委員たちは見回り中でいないため、俺と冬至の二人きり。


だけど、昨日のこともあって、自分から話しかける気にはなれない。

冬至が悪いわけじゃない。冬至は風紀委員長として正しい対応をしたのかもしれない。


そう分かってはいても、どうしてあんなことを言ったんだ、とか。お前のせいだ、とか。



嫌な言葉が飛びだしそうで、迂闊に口を開けない。おかげで昨日からずっと口を塞いでいる。



「あ、桜庭っ!」

「ぇ、」



そんなことをぼーっと考えていると、突然。慌てたように声をあげた冬至に、閉めかけていたドアののぶから手を離す。


少しできた隙間から視線を逸らして、委員長席についた冬至を見やった。




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