※2
「はあああ。」
田中のはいたため息とは、比べ物にならないほどの悲痛さをもったそれ。
ここまで聞こえるほどの大きさに、その悩みの深さが伺えた。
だから、だからこそ。
自分たちでは解決できない問題なのだ。
田中は、しょぼんと肩を落とした慎吾たちを見て頭を抱えたくなった。
昨日の夕方から今日の朝。
風紀室での時間は地獄にも等しかった。
普段、あんなにおおらかで、全くといっていいほど怒らない。委員長と正反対といっても過言ではない副委員長が、その顔を無表情にして全く言葉を発しない。感情をよく表情にのせる副委員長はそれでも美人だが、表情がなくなっただけで、あんなにも変わるものだとは。
目が合っただけで、背中がゾクリと震えたのは今日の朝の出来事である。
そして、
「............。」
田中は目だけを動かし、副委員長の左隣に座る委員長を見た。
こんな時。こんな緊急事態に頼りになるのは、やはり委員長しかいないだろう。
二人は幼馴染みで友人なのだ。
風紀委員全員の心は完全に一致していた。
それなのに、彼は。
ちらちら、と右隣を伺いお肉を口に運ぶ。
ちらちら、と右隣を伺いお肉を口に運ぶ。
ちらちら、と右隣を伺いお肉を口に運ぶ。
「............。」
役にたたねぇー。
委員長のいきすぎた綺麗好きに文句一つ言わなかった田中も、今回ばかりはたまらず委員長に暴言を吐いた。
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