3 「桜庭......。」 驚いたように目を見開いて、息を整え、ゆっくりとこちらへ近づいてくる会長に、シーツから身体を起こす。その、少し歪んだその表情に自然と腕を伸ばしていた。いろいろぐちゃぐちゃな頭のなかで、 あぁ、会長に触れたい。 ただそう思ってーーーー、 「おい、貴様。誰の許可があってここへ入ってきたんだ。さっさと出ろ。」 それは、冬至の右腕に邪魔された。 「ちょっ、冬至っ!」 「一体なんだ。静かにしてろ。」 だって、会長にあんな言い方。 「会長! ごめ、」 「調子はどうだ。」 「へ? あ、うん。全然大丈夫。もうぴんぴん。」 腕で力こぶを作って、笑顔で答える。 会長、転校生から聞いて走ってきてくれたんだろうけど、すごく申し訳ない。 俺は本当に大丈夫だし、会長だって忙しいはずなのに。 [*前へ][次へ#] [戻る] |