6 「なんで、......なり。」 「え?」 もごもごと小さい会長の声を拾って首をかしげる。 もう一度、の意味をこめて会長を見つめるも、彼はもう口を開いてはくれないらしい。 肩を落とす俺へ代わりに届いたのは、3回のドアノック。 会長の返事を受けて開かれたドアに、さらに深く肩を落としそうになる。 「失礼......、します。理巧、なんでこいつがここいにいるんだよ? てめぇもなんで生徒会室なんかにいるんだよ。あ?」 「愛先輩、こんにちは。」 「こんにちは、じゃねぇよ! 質問に答えろ! 質問にっ!」 指をびしっと指して俺を睨んでくる愛先輩は、今日もその童顔を歪めてご立腹らしい。 本当に俺は嫌われてるなぁ、と思うけど俺自身どうしてこんなに嫌われているのか分からない。 この関係が中学の中頃で始まったというのは覚えているけれど。 「おい、愛。うるせぇ。」 「うるせぇとはなんだ! うるせぇとはっ。俺は理巧にも怒ってんだけど!」 「はあぁ。」 「ため息つくな!」 めんどくさそうに頭に手をやる会長に愛先輩の声がとぶ。一目みて仲がいいと分かる二人に嫌な気持ちが募っていく。 これまでは全く感じなかった、身体が重くなるような感情。それと同時に、 あぁ、いいなぁ。 純粋にそう思った。 「あっ、今日はハンバーグだぞ。俺の手作り。」 「いらねぇっていってんだろうが。」 「だってお前、もってこないと食わねぇじゃん! 身体に悪いだろうが!」 「そうだよ。ちゃんと食べなよ。身体にもよくないよ。」 「パクってんじゃねぇよ!」 「美味しそうですね。」 愛先輩が机に置いたパックのなか、久しぶりにみたハンバーグは本当に美味しそうだ。愛先輩が料理ができるとは思わなかった。 顔だけみれば美少女だけど、口を開いたら............、あれだし。 [*前へ][次へ#] [戻る] |