3 よっこいしょ、と席をたって給湯場に向かう。部屋の作りは風紀室と同じだなー、と辺りを見回して目当ての瓶をさがす。 背中に視線を感じるけど、気にせず近くのカップを引き寄せる。 そのなかにコーヒーの粉を入れて、ポットのお湯を注ぐ。 「あ、会長! カップ使っていい?」 「もう使ってんだろうが。」 「!? っ!」 驚いて後ずさる。 すぐ後ろから聞こえた声に、身体が自然と後ろを向いた。 「会長......。」 俺とほぼ同じ背の会長と視線が交わる。真っ直ぐで漆黒の瞳が俺を見ている。 それは心なしか、ゆらゆらと揺れているように見える。 「桜庭。」 「な、なに。」 なんだ、どうした。緊張する。 なんで緊張なんてするのか、理由がわからない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |