8
ドアをバタンと後ろ手でしめて、廊下を歩く。
会長が追いかけてくる気配はない。
それでいいんだけど。
なんだろう、ちょっぴり寂しいような悲しいような。
「......。」
ぬわっー!
どうした、自分。
なんか変だ。
自分のなかのなにかが着実に変わってきている気がする。
あぁ、これが恋なのか。
そんなことを思って、......あっ。廊下の曲がりかど。
向こうもこちらに気づいたのか、慌てたように駆け寄ってくる。
「錦。」
「あーっ、桜庭せんぱい! こんにちはー。」
「うん、こんちには。」
錦と話していると時々、幼稚園児と話しているような不思議な気持ちになる。
幼稚園児は耳に派手なピアスなんてつけていないけど。
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