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「副会長は? 仕事しないの。」
「あいつは、転校生を追いかけるのが大変なそうだ。初めての......、あれだから浮かれてるんだろ。」
「でもそれは会長も」
同じじゃないの。
そう言おうとして、顔をあげた会長と視線が交わる。
不思議と言葉がでなくて、口が勝手に閉じていく。
「桜庭?」
あぁ、なんだろうこの気持ち。身体が熱い。
今の今まで会長のことを避けまくってたくせに、こうして顔をあわせると話がしたくて不思議な気持ちになって。
会長は転校生が好きで、転校生も会長が好きかもしれなくて。
でも俺は、
「っ、......。」
あぁ、その手に触れたい。抱きしめたい。
会長のことが知りたい。なにも、知らないことがないように。
ーーー篠って子供のころから無欲で、
俺のどこが、無欲なんだろう。
俺をみて、ちょっと首を傾げて、心配そうに見上げてくるこの人が。
あぁ、こんなに優しい人だなんてしらなかった。
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