5 バタン、と。 会計を最後にドアの閉まるおと。 あ、出遅れた。 そんなことを思いながら、机に向き合い早速書類仕事を始めた会長をみる。 なんだか、痩せただろうか。 目の下には隈があるし、顔色もよくない。 書類に向き合う表情は真剣そのもので、声をかけてもいいのか迷う。 「......お前も出ていけ。仕事の邪魔だ。」 「あ......。」 先手をうたれ、困る。 それは、このまま出ていくのが一番いいんだろうけど、噂のこととかその他もろもろでなんだか会長を放っておけなくて。 ーーーどうしよう。 「あのさ、書記の人は? 今日きてないの?」 「......犬飼なら部屋で仕事してる。」 「あ、......そう。」 あー、もうどうしよう。会長すごく機嫌が悪そうだ。 聞こえるのは、会長がペンを走らせる音だけ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |